Ethernet
Last Modified: Tue Dec 27 00:06:02 JST 2011

Ethernet

イーサネットは Ethernet と綴られる。 頭文字が大文字なのは、これが「ホチキス」や「ユニックス」と同じで登録商標だからだ (コピー機やプリンタでお馴染の Xerox 社の商標だ)。 ether は「エーテル」と言ったら聞いたことがある人もいるかもしれない。 エーテルとは、古来より天空世界に満ちていると思われていた霊気のことで、 また19世紀から20世紀初頭には光を伝える媒体なのではないかと考えられていた、「見ることも触れることもできない怪しい物体」の仮称として使われていた。 現代においてエーテルは、フレームを伝える媒体として姿を現したということになる。

今時の Ethernet では、コンピュータに NIC (Network Interface Card) を差し、10BASE-T ケーブルを使って HUB と接続することによってネットワークを構築するのが普通だ。

[ether02.gif]

このような接続には、制限もいくつかある。

以上から、HUB と 10BASE-T のケーブルを使う限り、500m 以上離れたホスト同士は接続できないことが分かる。 そういう遠い距離を結ぶためには、FDDI(光ケーブル)などを使って接続すればよい (が、専用の機材が別途必要になる)。 まあ、一般家庭では 10m 以上になることさえないと思うが、 ちょっと大きなオフィスの場合だと HUB のカスケーディングで制限を超えるかもしれない。

Ethernet の原理

Ethernet で接続されたすべてのホストは、接続されているケーブルを共用することになる。 簡単に言うと、あるホストがデータをネットワークに流すと、すべてのホストがそれを受け取ってしまうということだ。 データフレームには、差出人と宛先のホスト名が書いてある。 各ホストは、流れてきたデータの宛先をチェックし、自分宛であればデータを受け取り、そうでなければ無視するのだ。 ずいぶん大雑把な仕組みに見えるが、データを送る際に特定の線を選択して送る仕組みを作るより、はるかに簡単に実現できるというメリットがある。

このようなケーブルの共用システムでは、複数のホストが同時にデータを送り出せないという問題もある。 2つのデータが同時に流されると、データが混ざって壊れてしまうのだ。 データを発信したいと思っているホストは、まずケーブルが使われていないことを確認してからでないと、データを流し込めないことになっている。

ケーブルにデータが流れていないとき、偶然2つのホストが同時にデータを流し込むこともある。 そのデータは混ざりあって壊れてしまうので、それぞれのホストは壊れたことを検出し、再び送り直さなければならない。 このとき再送するまでの時間を固定すると、何度も衝突が起こって結局送り出せなくなってしまう。 そこで再送までの時間はランダムに決めるというルールがある。 サイコロを振って決めるということだ。 みんなが公平に同じサイコロを使う限り、誰にでも正しくデータを送り出すチャンスがあるというわけである。

以上の通信方式を、CSMA/CD 方式と呼ぶ。 これは Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection の略だ。 データを流すと全部のホストに届くというのが MA、 データが流れていないことを確認するのが CS、 衝突が起こったら再送するというのが CD に相当する。


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