僅かだった蓄えが底を尽き、同様に貧しい両親に頼ることも出来ず、貴方は学問をあきらめなければならなくなった。 経験も能力もない貴方には、明るい将来を描くことはかなわない。 下賎な仕事に身を窶し、より稼ぎのよい仕事にありつけるチャンスを狙って要領よく立ち回ることもできよう。 さもなければ山師や強盗になるか、十字軍に参加するか、金のために人殺しでもやっていくより他にない。 貴方は組合の長の反対を押し切って、探検家の道を選択した。 探検家は去るときは貧しくとも、戻る時には裕福になっているものである。 仮に探検家が戻らぬとしても、途中で冒険を諦めてしまったのだと誰が断言できようか?
こうして旅に出た貴方は、莫大な富を与えてくれるというイェンダーの護符に纏わるたわいない噂を耳にした。 噂によれば、この護符を持ち帰った者には、神から永遠の命を与えられるという。 護符は「恐怖の迷宮」の奥深く、煉獄の谷の彼方にあるということだった。 貴方は護符を求める旅に出ようと決心した。 仮にその噂が真実ではないにしても、また現在の貧窮から我身を救ってはくれなくとも、冒険談を吟遊詩人に売ることでちょっとした稼ぎを作ることぐらいできるだろうと考えたのだ。 貴方は最後の準備のために宿をとった。 宿の壁に張り出された貴方の成功の賭け率がどんどん下がっていくのを見て、貴方は徐々に憂鬱になっていった。 そして翌朝、目を覚ましたあなたは、荷物をまとめて冒険へと旅立っていった…
冒険における様々な困難に立ち向かうための各種の技量や力は、貴方の生い立ちと修行の内容によって異なる。
- Archeologist
- 考古学者は洞窟について多くの知識を持っている。 このため素早く動いたり、辺境における不快な事態を切り抜けることができる。 彼らは学術的調査のための探検旅行に必要な、しかるべき道具を装備して出発する。
- Barbarian
- 野蛮人は奥地からやってきた戦士であり、戦闘のための鍛練を積んでいる。 彼らは類まれな力の強さを持ち、 丈夫な鎖かたびらと大きな両手で扱う剣を持って探求に出発する。
- Caveman と Cavewoman
- 穴居人はとりわけ強い力を持っている。 だが、彼らの武器は新石器時代に使われたような粗末なものである。
- Healer
- 治癒師は医術や薬物に精通している。 生気を回復させたり、苦痛を和らげたり、麻痺させたり、 毒を中和させたりする香草や薬草について詳しい。 また、手にした器具を使って生物の健康状態を見抜くことができる。 彼らは開業医としてかなりよい報酬を得ており、それを持って洞窟に入っていく。
- Knight
- 騎士は普通の散兵とは異なり、騎士道の理想に燃えている。 彼らは並外れて優れた防具を着けている。
- Monk
- 修道士は苦行者であり、肉体的・精神的規律に従って厳しい修行をしている。 そのため、武器に頼らず効果的な戦闘を行う能力に長けている。 彼らは防具さえ身につけていないが、それが起動力を増すことにつながっている。
- Priest と Priestess
- 僧侶は聖職の闘士であり、 武器と防具を持ち魔法の業を駆使して正義を広めんとする聖戦士である。 祈りを通じて神と語る能力により、彼らはしばしば危難から逃れることができる。 だが一方、祈りは危難をもたらすこともある。
- Ranger
- 狩猟者は森を主な住みかとし、また少々場違いではあるが洞窟に住まうこともあるらしい。 いずれにしても彼らは弓の名手であり、追跡と隠密行動を得意としている。
- Rogue
- 悪漢は敏捷で身を隠す業に長けた泥棒であり、錠前や罠の仕組みや毒物に詳しい。 彼らの利点は不意打ちにあり、それを最大限に活用する。
- Samurai
- 侍は封建時代の日本の精鋭の武人である。 防具は軽装で身のこなしに秀でており、`大小'と呼ばれるこの上なく研ぎ澄まされた2本の刀を帯びている。
- Tourist
- 旅行者は買物に最適な多額の金とクレジットカード、大量の食料、地図、そして高価なカメラを持って出発する。 たいていの怪物は写真に撮られるのを嫌うものである。
- Valkyrie
- ワルキューレは勇敢な女戦士である。 過酷なスカンジナビアの国々で育った彼女らは、頑強で厳しい寒さにも耐え、身を隠す業と巧妙さを身につけている。
- Wizard
- 魔術師は慎重に選び抜かれた呪術的道具を準備しており、いにしえの魔法学に対して特に造詣が深い。 経験豊かな魔術師は、一見軟弱で容易に倒せそうな風貌とは裏腹に、最悪の敵となりうる。
洞窟へと向かう数日に渡る旅は何事もなく平穏に過ぎ、
貴方は「恐怖の迷宮」への入口を示す古代の遺跡へとたどり着いた。
だがこのときすでに夜半を過ぎていたため、入口で野宿をすることに決めた。
翌朝貴方は道具を整え、もしかすると最後になるかもしれない地上での食事
を済ませ、洞窟へと入っていった。
2 貴方を取り巻く状況
こうして貴方はゲーム NetHack を始めることとなった。 貴方の目的は、持てる限りの宝を集め、「イェンダーの護符」を見つけ出し、さらにはこの「恐怖の迷宮」から生きて戻ってくることである。 画面には貴方が現在いる洞窟の階で、すでに探索した部分の地図と目にした物体のありかが示される。 さらに深く探検を進めるにつれて、洞窟はその姿を次第に貴方の前の画面に明らかにしていくだろう。
NetHack の祖先である rogue が最初に登場したとき、そのスクリーン指向は他のコンピュータファンタジーゲームと一線を画していた。 それ以来スクリーン指向は、例外的なものというよりむしろ標準となった。 NetHack はこのすばらしい伝統を受け継いでいる。 疑似的な英語によるコマンドを受け付け、結果を文章で表示するテキストアドベンチャーゲームとは異なり、NetHack のコマンドはどれも1文字もしくは2文字のキー入力で与えられ、その結果は画面の変化として現れる。 画面は最低80桁および24行の大きさが推奨される。 それ以上の大きさがあっても 80×21 の領域だけが地図の表示に使われる。
NetHack はプレイするたびに新しい洞窟を作成する。
このため何度もゲームに勝利したことのある作者たちにも、いまだこのゲームは楽しく興奮に満ちたものと感じられる。
3 画面上の記号とその意味
NetHack には様々なディスプレイ設定がある。 これらの設定は、移植の際に加えられた機能、貴方が使用するハードウェアやソフトウェアの性能、さらに実行ファイルを生成するコンパイル時に選択した設定によって異なるが、大まかに三種類、すなわち白黒文字による表示、カラー文字による表示、タイルと呼ばれるグラフィック表示に分けられる。 第一、第二の文字による表示は、文字の多少の置き換えは可能であるものの、基本的にはASCII文字によってすべての物を表現する。 これら表示による違いは、ゲームの内容には何の影響も及ぼさない。 紙面ではタイル・グラフィックやカラーを再現することができないため、またすべての移植において共通のインターフェースであることから、本書での説明で使用する画面の例は標準設定のASCII文字を用いた白黒表示とする。
NetHack で何がおきているかを理解するには、画面表示の意味を理解しなければならない。 NetHack では、テキストアドベンチャーゲームにおける "You see..."のような文章の代わりに、画面を使ってゲームの状況を示す。 図1は NetHack のプレイ中の画面の一例である。
The bat bites! ------ |....| ---------- |.<..|####...@...$.| |....-# |...B....+ |....| |.d......| ------ -------|-- Player the Rambler St:12 Dx:7 Co:18 In:11 Wi:9 Ch:15 Neutral Dlvl:1 $:0 HP:9(12) Pw:3(3) AC:10 Xp:1/19 T:257 Weak図1
画面の下2行には貴方の現在の状態を表す情報(の一部)が表示されている。 いずれの行も、画面の幅よりも長くなると、 その全部を見ることができなくなってしまうだろう。 以下にそれぞれの状態項目が何を意味するのかを述べる (コンフィギュレーションによっては、 以下の一覧にある項目の一部は表示されない)。
- Rank
- 貴方の名前と(後述の経験レベルに基づく)職業別の等級。
- Strength
- 貴方のキャラクタの力の強さを示すもので、6つの基本的な属性のうちの一つである。 力の強さは3から18の間の値をとる(18/xxのような特別な力を得ることもある)。 値が大きいほど強いことを示す。 力の強さは力仕事をどれだけうまくやれるか、戦闘でどれだけのダメージを与えるかに影響する。
- Dexterity
- 機敏さは戦闘における命中率、罠を逃れ得る可能性、そしてその他の敏捷さを必要とする仕事や物をいかに器用に扱えるかなどのことがらに影響を与える。
- Constitution
- 生命力は怪我の回復や、過労によるスタミナの消耗にいかに耐え得るかに影響する。
- Intelligence
- 知能は呪文を唱えたり、魔術書を読む能力に影響を与える。
- Wisdom
- 賢明さは実際の経験、特に魔法を取り扱うことによって得られる。 魔法のエネルギーに影響する。
- Charisma
- カリスマはある種の生物が貴方に対してとる態度に影響を与える。 特に店主が示す価格に影響する。
- Alignment
- アラインメントには Lawful、Neutral、Chaotic がある。 一般に Lawful は善、Chaotic は悪である。 アラインメントは、他の怪物が貴方に対してどう反応するかに影響を与える。 同種のアラインメントを持つ怪物は多くの場合友好的だが、対立するアラインメントの怪物は貴方の存在自体に大変な苛立ちを感じる。
- Dungeon Level
- 貴方が地下の第何階にいるかを示す。 1から始まり、下へ降りるたびに1ずつ増えていく。 中には数字ではなく名前で呼ばれる特別なレベルが存在する。 「イェンダーの護符」は地下20階より深くのどこかにあると考えられている。
- Gold
- 所持している金塊の量である。 何らかの容器に入れられた金塊は数に含まれない。
- Hit Points
- ヒットポイントの現在値と上限値である。 ヒットポイントとは、あとどれだけのダメージを受けると死ぬかを示す値である。 戦いで敵の攻撃が命中するたびに値は減少する。 ヒットポイントは休息をとったり、魔法的なアイテムや呪文で回復できる。 カッコの中の数字はヒットポイントの達しうる上限値である。
- Power
- 呪文に使う魔力である。 これは呪文を唱えるのに必要な神秘のエネルギー(mana : マナ)がどれほどあるかを示す。 これも、休息によって回復することができる。
- Armor Class
- 身に着けている防具が、非友好的な生き物からの攻撃に対してどれだけの防御力を持っているかを示す。 数字が小さいほど防御力は高く、アーマークラスが負の値になることさえ十分にありうる。
- Experience
- 現在の経験レベルと経験値である。 冒険が進むと経験値を得ることができる。 その経験値がある一定値に達すると、経験レベルが上がる。 経験を積むにつれて戦闘能力は向上し、魔法攻撃に対する抵抗力も強くなっていく。 通常の設定では経験レベルだけが表示される。
- Time
- 経過したターン数を表す。 time オプションがオンのときに表示される。
- Hunger Status
- 現在の腹具合である。 腹具合は Satiated から Fainting までの状態をとる。 腹具合が普通なら表示されない。
この他にも状態を示す表示が腹具合の後ろに表示されることがある。 混乱しているときには Conf、病気のときには FoodPois または Ill、目が見えないときには Blind、ショック状態では Stun、幻覚を見ているときは Hallu と表示される。
画面の最上行は、視覚的には伝えきれない情報をメッセージで伝えるために使用される。
最上行に "--More--" が表示されたときは、このあとにさらにメッセージが続いているけれども現在のメッセージをまず確実に読むよう促している。
次のメッセージを読むためにはスペースキーを押せばよい。
地図(画面の残りの部分)
画面の残り部分は、現在いる階でそれまでに探索し終わった部分の地図である。 画面上のシンボルはそれぞれ何かを表している。 表示されるシンボルはいくつかのグラフィックオプションを設定することによって換えることができる。 そうでなければ標準設定のシンボルが用いられる。 次に標準設定のシンボルの意味の一覧を示す。
- -と|
- 部屋の壁、または開いた扉。
- .
- 部屋の床、氷、または扉のない出入口。
- #
- 通路、または台所の流し台(流し台が設定されているとき)や可動橋。
- <
- 上の階への通路。
- >
- 下の階への通路。
- +
- 閉じた扉、または読んで学ぶことのできる魔術書。
- @
- 人間(通常は貴方)。
- $
- 金塊の山。
- ^
- 罠(ひとたび発見すれば表示される)。
- )
- 武器。
- [
- 防具。
- %
- 何らかの食用物(衛生的であるとは限らない)。
- ?
- 巻物。
- /
- 杖。
- =
- 指輪。
- !
- 水薬。
- (
- 便利なアイテム(つるはし、鍵、ランプ…)。
- "
- 護符(または蜘蛛の巣)。
- *
- 宝石や岩(貴重なものかもしれないし、価値のないものかもしれない)。
- `
- 巨石や彫像。
- 0
- 鉄球。
- _
- 祭壇、または鉄の鎖。
- }
- 水たまり、堀、または溶岩。
- {
- 泉。
- \
- 豪華な玉座。
- a-zA-Zおよびその他のシンボル
- これらの文字とその他のいくつかのシンボルは「恐怖の迷宮」に住み着いている様々な怪物たちを表す。 彼らは不機嫌で悪意に満ちていることがあるのでくれぐれも注意して欲しい。 が、ときには何かの手助けになることもある。
これらのシンボルをすべて記憶する必要はない。 '/'コマンドでどのシンボルが何を表すか知ることができる(詳細は「コマンド」の項を参照のこと)。
NetHack のコマンドは1文字または2文字のキー入力として与える。 's'(search: 探索)のようなコマンドは、それ以上情報を必要としない。 一方、方向や使用する対象物などの指定を必要とするコマンドもある。 そのようなコマンドに情報を追加するために、NetHack は選択のためのメニューあるいはコマンドラインプロンプトを表示する。 いずれの形式で表示を行うかは、menustyle オプションの設定によって決まる。
例えば "What do you want to use? [a-zA-Z\ ?*]" という形式の問い合わせが頻繁に起こるが、これは持っている物のうちどれを選ぶかを尋ねるものである。 この問い合わせにおいて "a-zA-Z" は貴方が選べる持物の目録記号である。 '?' を入力するとこれらのアイテムの目録一覧が得られ、個々の記号が何を表しているのか知ることができる。 またこの例には '*' がある。 これは通常そのコマンドでの使用を想定しておらず一覧には表示されていない物でも、使おうと思えばそれを選ぶことができることを示している。 '*' を入力するとすべての持物の目録が表示され、個々の持物すべてについての目録記号を知ることができる。 考え直して結局このコマンドを使わないことにしたときには 'ESC' キーを押せばコマンドを終了することができる。
コマンドの大部分は、数字をコマンドの前に入力することにより繰り返しの実行が可能となっている。 例えば "10s" は探索を10回行う。 number_pad オプションがオンのときには数字の前に 'n' を入力しなければならない。 つまり上の例は代わりに "n10s" と入力する。 繰り返し実行しても無意味なコマンドでは、この指定は無視される。 さらに、移動コマンドにプレフィックスを付けることによってさまざまな移動方法をとることができる(後述)。 繰り返し回数やプレフィックスを取り消すためには 'ESC' キーを押せばよい。
コマンドの数はかなり多いが、ゲームの途中でも '?' コマンドを使うとヘルプメニューが表示され、いつでもコマンドの一覧を見ることができる。 以下に各コマンドの説明を示す。
- ?
- ヘルプメニュー: ヘルプ画面のうちの一つを表示する。
- /
- シンボルが何を意味するかを示す。指定するには場所を示すか、またはシンボル(あるいは単語全体)を入力するかを選択することができる。 \itx{help}オプションがオンで、かつ貴方が調べている物や怪物についての何らかの特別な情報が NetHack にあるときには、貴方の求めに応じて "More info?" と表示されるだろう。 help オプションがオフのときには、怪物や物の名前を入力してはっきりと要求したときのみその特別な情報を知ることができる。
- &
- コマンドの動作を示す。
- <
- 上の階へ行く(階段または梯子の所にいるとき)。
- >
- 下の階へ行く(階段または梯子の所にいるとき)。
- [yuhjklbn]
- 指定した方向へ一歩進む(図2参照)。 その方向に怪物がいるときは、移動するのではなく怪物と戦うことになる。 怪物と戦うことになるのは一歩移動のコマンドだけである。 その他の移動コマンド(後述)は "安全" である。
y k u 7 8 9 \ | / \ | / h- . -l 4- . -6 / | \ / | \ b j n 1 2 3 (number_pad がオンのとき) 図2
- [YUHJKLBN]
- 壁に突き当たるか、何かに衝突するまで指定した方向に進む。
- m[yuhjklbn]
- プレフィックス: 物を拾わずに移動する。
- M[yuhjklbn]
- プレフィックス: 物を拾わずに遠くへ移動する。
- g[yuhjklbn]
- プレフィックス: 何かが見つかるまで移動する。
- G[yuhjklbn]または <CONTROL->[yuhjklbn]
- プレフィックス: 'g' と同じ。 ただし通路の分岐点では止まらない。
- .
- 休憩する。1ターンの間、何もしない。
- a
- 道具(つるはし、鍵、ランプ…)を用いる(使う)。
- A
- 身につけている防具などのアイテムを全て外す。 防具を一つだけ外すときには 'T'(take off: 防具を外す)を、 その他の装身具を外す時には 'R'(remove: 装身具を外す)を用いる。
- ^A
- 一つ前のコマンドを繰り返す。
- c
- 扉を閉じる。
- C
- 個々の怪物に名前を付ける。
- ^C
- パニックボタン。ゲームを放棄する。
- d
- 何かを下に置く。
d7a — a という物を7個下に置く。
- D
- いくつかの物を下に置く。 " What kinds of things do you want to drop? [!\%= au]" の質問に対して、0個以上の物のシンボルを入力することで答える。 'a' や 'u' をその後に続けて入力することもあるだろう。
Da — 確認なしにすべての物を下に置く。
Du — 代金未払の物だけを下に置く(店にいるとき)。
D%u — 代金未払の食料だけを下に置く。
- ^D
- 何か(通常は扉)を蹴る。
- e
- 食料を食べる。
- E
- 床にメッセージを刻み込む。 "Elbereth" という語を刻み込むとたいていの怪物は貴方に白兵戦を挑んで来なくなるだろう(しかし貴方が攻撃をすると文字は消えてしまうだろう)。 これは一休みするときに便利なことが多い。 (この機能はコンパイル時に削除されているかもしれないので、貴方のバージョンで必ずしも機能するとは限らない。)
E- — ほこりの中に指で書く。
- i
- 持物の目録を表示する(持っている物すべて)。
- I
- 持物の目録のうち指定した一部を表示する。
I* — 持物の目録うち宝石をすべて表示する。
Iu — 代金未払のアイテムをすべて表示する。
Ix — 代金未払だが使ってしまったアイテムをすべて表示する。
I$ — お金を数える。
- o
- 扉を開ける。
- O
- オプションを設定する。 オプション行を入力するよう求められる。 空行を入力したときは現在のオプションの状態が表示される。 '?' を入力するといろいろなオプションの説明が得られる。 それ以外の場合はオプションの一覧をカンマで区切って入力しなければならない。 設定可能なオプションはこのガイドブックの後ほどに一覧がある。 オプションは通常は 'O' コマンドではなくゲームを始める前に設定する。 後述のオプションについての項を参照のこと。
- p
- 代金を払う。
- P
- 指輪やその他の装身具(護符、目隠し布)をつける。
- ^P
- 一つ前のメッセージを繰り返す(続けて^Pを入力すると以前の メッセージが順に表示される)。
- q
- 水薬を飲む。
- Q
- ゲームを放棄する。
- r
- 巻物や魔術書を読む。
- R
- 装身具(指輪、護符など)を外す。
- ^R
- 画面を描き直す。
- s
- 周囲の隠し扉や罠を探す。 何かを見つけるには通常数回の探索が必要である。
- S
- ゲームをセーブする。 次にプレイするときはゲームはセーブしたところから始まる。
- t
- 物を投げる。 または矢などを発射する。
- T
- 防具を外す。
- ^T
- テレポート能力があればテレポートする。
- v
- バージョン番号を表示する。
- V
- ゲームの履歴を表示する。
- w
- 武器を持つ。
w- は何も持たず素手になることを意味する。
- W
- 防具を着ける。
- x
- 知っている呪文の一覧を表示する('+' と同じ)。
- X
- 探検(発見)モードに入る。
- z
- 杖を振る。
- Z
- 呪文を唱える。
- ^Z
- ゲームを一時中止する(ジョブコントロール機能のあるUNIXバージョンのみ)。
- :
- 足元に何があるか見る。
- ;
- 表示されているシンボルが何を表すのか示す。
- ,
- 何かを拾う。
- @
- autopickup オプションのオン・オフのトグル。
- ^
- 罠の種類を調べる。
- )
- 持っている武器を表示する。
- [
- 着けている防具を表示する。
- =
- はめている指輪を表示する。
- "
- 付けている護符を表示する。
- (
- 使っている道具を表示する。
- $
- 金塊を数える。
- +
- 知っている呪文の一覧を表示する('x' と同じ)。
- \
- 今までにどんな種類の物を見つけたかを表示する。
- !
- シェルに抜ける。
- #
- 拡張コマンドを実行する。 以上から分かるように NetHack の作者たちはすべての文字を使い果たしてしまったので、あまり役に立たないコマンドや限られた状況でしか使われないコマンドはこのようにして導入された。 '?' を入力するとそれらのコマンドの一覧が得られる。 どの拡張コマンドが使用可能かは、ゲームのコンパイル時にどの機能が有効にされたかによる。
もし貴方のキーボードにメタキー(別のキーと一緒に押すことによってそのキーの 'メタ' [第8または '上位']ビットをセットする)があれば、コマンドの頭文字をメタキーと一緒に押すことによって拡張コマンドを起動することができる。 OS/2、PC および ST NetHack では 'Alt' キーが、Amiga では altmeta キーが、PC-9800 シリーズでは 'GRPH' キーがこの目的に使われる。
- M-a
- 持物の目録記号を調整する。 fixinv オプションがオンのときに便利である。
- M-c
- 誰かと話をする。
- M-d
- 物を何かに浸す。
- M-e
- 武器の熟達度の向上、または確認を行う。
- M-f
- 錠をこじ開ける。
- M-i
- 物の特別な力を発揮させる。
- M-j
- 別の場所へジャンプする。
- M-l
- 床の上の箱の中身を略奪する。
- M-m
- 怪物の特別な能力を使う。
- M-n
- アイテムや物の種類に名前を付ける。
- M-o
- 神にいけにえを捧げる。
- M-p
- 神に祈って助けを求める。
- M-r
- ランプを擦る。
- M-s
- 座る。
- M-t
- 不死の怪物を追い払う。
- M-u
- 何か(罠そのもの、扉、櫃)の罠を外す。
- M-v
- このバージョンの NetHack をコンパイルしたときのオプションを表示する。
- M-w
- 顔を拭う。
number_pad オプションがオンのときは、これらに加えいくつかのコマンド文字が有効になる。
- j
- 別の場所へジャンプする。 "#jump" や "M-j" と同じ。
- k
- 何か(通常は扉)を蹴る。 "^D" と同じ。
- l
- 床の上の箱の中身を略奪する。 "#loot" や "M-l" と同じ。
- N
- アイテムや物の種類に名前を付ける。 "#name"や"M-N"と同じ。
- u
- 罠そのもの、あるいは扉や櫃に仕掛けられた罠を外す。 "\#untrap"や"M-u"と同じ。
洞窟内の部屋や通路は明りがついていることもあるし、ついていないこともある。 明りのついている部分で自分の視野に入る部分は画面に表示される。 暗いところでは周囲1つ分の空間だけが見える。 壁や通路は画面に表示されたままになる。
隠し通路は表示されない。
これらは 's'(search: 探索)コマンドで発見することができる。
出入口
出入口は部屋と通路を接続するものである。 出入口の中には扉のないものがある。 このときにはそのまま通り抜けることができる。 その他の出入口には扉があるが、その扉は開いているか、閉じているか、錠がかかっているかのいずれかである。 閉じている扉を開けるには 'o'(open: 扉を開ける)コマンドを用いる。 再び扉を閉じるには 'c'(close: 扉を閉じる)コマンドを用いる。
扉に錠がかかっているときは 'a'(apply: 道具を用いる)コマンドで錠前破りの道具を使うか、'^D'(kick: 蹴る)コマンドで扉を蹴破ることで通ることができる。
開いた扉に斜め方向から入ることはできない。 水平あるいは垂直方向から真っ直ぐに近付かなければならない。 扉のない出入口にはこのような制限はない。
扉は怪物を締め出すのに役に立つ。 たいていの怪物は扉を開けることができない。 けれどもいくつかの怪物にとっては扉を開ける必要などない (例: 亡霊は扉を通り抜けることができる)。
隠し扉は表示されない。
これらは 's'(search: 探索)コマンドで発見することができる。
一端発見された隠し扉は、普通の扉と同じになる。
罠('^')
不用心な冒険者を陥れんとする罠が洞窟中に存在する。
例えば落し穴に落ちると、そこから這い上がる数ターンの間動けなくなるであろう。
罠は、誰かが足を踏み入れて引っかかるか、's'(search: 探索)コマンドで見つけるかして初めて表示される。
怪物も罠の餌食になるので、防御のための戦略のひとつに使うことができる。
6 怪物
画面上には貴方から見える怪物しか表示されないが、ひょっとすると闇の中で怪物とばったり出くわすことになるかもしれないので注意が必要である。
魔法のアイテムの中には、怪物が貴方を発見するよりも前に怪物の位置を知るのに役立つ物もある。
しかし、ある種の怪物はこの能力に大変優れている。
戦闘
怪物と対戦する場合は、移動コマンドを使用し体当りすればよい。
姿を現したもののこちらが攻撃を仕掛けるまでは襲ってこない怪物も多い。
腹を立てると大変危険な怪物もいる。
「三十六計逃げるにしかず」という格言を忘れてはならない。
ペット
貴方は小さな犬('d')あるいは猫('f')とともにゲームを始める。 ペットは貴方とともに洞窟をさまよい、怪物と戦う。 貴方と同様にペットも生き延びるための食料を必要とする。 ペットは死肉やその他の肉をえさにしている。 もしもペットのことが気がかりであったり、ペットを飼い慣らしておきたいと思うなら、貴方が直接えさを与えることもできる。 食料をペットに投げてやればよい。 正しく躾られたペットは、ある状況において大変役に立つ。
ペットも怪物を倒して経験を積む。 また時間とともに成長もし、ヒットポイントや相手に与えるダメージも増加する。 初めのうちは貴方よりもペットの方が強いだろうから、レベルの低いキャラクタにとっては役に立つだろう。
貴方が他の階へ移動するとき、隣にペットを連れていればペットも貴方について移動する。
置き去りにすると野生化してしまうかもしれない。
亡霊の現れる階
冒険者の亡霊とその死体
(それは生まれ変わる前の貴方自身であることさえある!)や、その所持品に出くわすかもしれない。
亡霊を殺すことは難しいが、動きがのろくほとんどダメージを受けないので簡単に逃げることができる。
貴方は死んだ冒険者の所持品を奪うこともできるが、それらは呪われていることが多い。
以前の冒険者を死に到らしめたものにはすべて注意を払わねばならない。
それはまだ周辺に潜んでいるかもしれないのだ。
7 アイテム
洞窟の中で何かを見つけたとき、たいてい貴方はそれを拾おうとするだろう。 NetHack ではその物の上を通ることによって自動的に拾うことができる (autopickupオプション(後述)がオフになっているときや 'm' プレフィックス(前述)を用いて移動するときはこの限りではない)。 または ',' コマンドを使って手動で拾うこともできる。
持物が多すぎるときには NetHack は貴方にそのように告げて、それ以上拾うことはできなくなる。 そうでなければ NetHack はその物を貴方の荷物に加え、何を拾ったかを表示する。
物を拾うと目録記号が割り当てられる。 物を扱うコマンドの多くは貴方がどの物を使いたいのかを必ず尋ねてくる。 持物のうち特定の物を選ぶように NetHack が尋ねてきたときは、通常目録記号の一覧が表示されるのでその中から選ぶ(前述の「コマンド」の項を参照)。
いくつかの物、例えば武器類のような物は、それがどんなものか簡単に区別できる。 この他の物、例えば巻物や水薬は、その種類に応じて様々な表題が付けられている。 1回のゲームの間は、同じ表題のものは同じ種類の物である。 しかし表題と物の対応はゲームごとに毎回変わる。
物を使ってみてその効果が明らかな場合は、NetHack がそれが何であるかを憶えていてくれる。
効果があまり明らかでない場合はその物の種類を何と名付けるか尋ねてくる。
このため後になってそれを思い出すことができる。
またいつでも "#name" コマンドを使って同様のことができ、特定の種類の物すべてに名前を付けたり、個々の物に名前を付けたりできる。
呪いと祝福
貴方が発見する様々な物は、たとえそれが役に立つものであったとしても、呪いがかけられている可能性がある。 呪われた物を使ったときに最もよく見られる結果は、そのアイテムが張り付いてしまうことである。 呪われた武器を持つとそれは手に張り付いてしまって取れなくなる。 呪われたアイテムを身に着けると普通の方法では外すことができない。 さらに、呪われた武器や防具には、 必ずと言うわけではないが多くの場合、 負の魔力が与えられていて呪われていない物よりも戦闘時の効力が劣る。 その他の呪われた物はあまり役に立たなかったり、 その他の点で害を及ぼすことがあるかもしれない。
一方で祝福されている物もある。 祝福されているアイテムは呪われていない普通のアイテムに比べて具合よく働き役に立つ。 例えば祝福された武器は悪鬼たちに一層のダメージを与えることができるだろう。
魔法を使うと物に呪いをかけたり呪いを解いたりすることができる。 このためたとえアイテムが張り付いてしまっても、呪いを解いて外すことができる。 僧侶は生来呪いや祝福に敏感なので、他の職業の冒険者よりも容易に呪われているものを避けることができる。
持ち物の状態が判明している場合、目録を見ると
"cursed"(呪われた)、
"uncursed"(呪われていない)、
"blessed"(祝福された)というプレフィックスが持ち物の前に置かれ、
状態を確認することができる。
呪われているか否かはっきりしないアイテムには、何のプレフィックスも付加されない。
武器(')')
「恐怖の迷宮」に住むたいていの怪物は、チャンスと見れば見境なく貴方を殺そうとするだろう。 自分の身を守る(先に怪物を殺してしまう)ためには武器が必要である。 武器なしではヒットポイントにして1--2のダメージ(いくらかの加算があるかもしれないが)を与えることしかできない。
鎚矛や剣のような振り回すための武器、また矢のような投げつけるための武器がある。 武器で怪物に打撃を与えるためには、武器を手にもって怪物を攻撃するか武器を怪物に投げなければならない。 槍の場合は、単に投げるだけでよい。 矢を射るためには、まず弓を武器として構え、それから矢を投げる。 クロスボウはクロスボウ用の太矢を発射するためのものである。 投石器は石や(他の)宝石を投げつけるために用いる。 武器は一度に一つしか持つことができないが、呪いがかけられた武器を手にしているのでなければ武器を持ち替えることができる。 素手になりたいときは '-''に持ち換えればよい。 あるいは、'A' コマンドを使って、武器をしまうついでに他の装身具を外すこともできる。
#enhance コマンドは "武器技能" オプションがオンのときに使用できる。 このコマンドは種々の武器の熟達度を管理する。
魔力のある武器には "+記号"(魔力はプラスとは限らず、マイナスの場合もある)が付けられており、攻撃が怪物に当る可能性が大きくなり与えるダメージも大きくなる。 ある武器に魔力があるかどうかを知るには、何らかの方法で魔法を使って鑑定するしかない。
ほとんどの武器が、錆などのダメージを受ける。 これらのダメージは修理することができる。
AD&D をプレイしたことのある読者はお気付きだろうが、AD&D に登場する武器は NetHack においても怪物に同じダメージを与える。 あまりよく知られていない武器(aklys、lucern hammer、bec-de-corbin など)のいくつかは AD&D の追加ルールである Unearthed Arcana の付録で詳しく説明されている。
武器に対して使用するコマンドには 'w'(wield: 武器を持つ)と 't'(throw: 投げる)、"#enhance"(熟達度向上)がある。
防具('[')
洞窟には敵意のある怪物がたくさんうろついている。 そういった怪物の攻撃から身を守るには防具が必要である。 防具の中には他の種類の防具よりも防御効果に優れた物がある。 アーマークラスはこの防御効果の尺度である。 アーマークラス(AC)は AD&D での場合と同じように評価される。 つまり10が防具なしの状態と等しく、数値が小さいほど優れた防具であることを示す。 AD&D に登場する鎧は NetHack においても同じ防御効果を現す。 以下に(すべてではないが)各種の鎧ごとに規定されるアーマークラスの一覧を示す。
dragon scale mail (龍の重ね鱗片の鎧) 1 crystal plate mail (水晶製の鎧) 3 plate mail (鋼鉄製の鎧) 3 bronze plate mail (青銅製の鎧) 4 splint mail (重ね札片の鎧) 4 banded mail (帯金片の鎧) 4 elven mithril-coat (エルフの鎖鎧) 5 chain mail (鎖鎧) 5 scale mail (重ね鱗片の鎧) 6 ring mail (金属輪の鎧) 7 studded leather armor (鋲つきの皮製の鎧) 7 leather armor (皮製の鎧) 8 no armor (鎧なし) 10
さらに他の防具(例: ヘルメット、ブーツ、楯、マント)を身に着け、アーマークラスの値を小さくすることもできる。 ただし同じ範疇に入るアイテムは一時に一つしか身に着けることができない (鎧は一式、マントは1着、ヘルメットは1個、楯は1枚など)。
防具に魔力があればその防具の防御効果は通常の物よりも良く(もしくは悪く)なっており、それに付いている "+記号"(あるいは-記号)の分だけアーマークラスの値が小さくなる。 例えば +1 chain mail は通常の鎖鎧よりも防御効果が高く、アーマークラスは1単位分小さくなって4になる。 防具を身に着けると直ちにアーマークラスと "+記号" の値が分かる。 呪われた防具は通常負の魔力(-記号)を持っており、取り外すことはできない。
ほとんどの防具が、錆などのダメージを受ける。 これらのダメージは修理することができる。 防具の中には、魔術の使用を抑制するものもある。
防具に対して使用するコマンドには 'W'(wear: 防具を着ける)と 'T'(take off: 防具を外す)がある。
'A' コマンドならば、防具と一緒に他の装身具を外すこともできる。
食料('%')
生きのびるには食料が不可欠である。 長い間食料を口にしないまま進むとやがて昏倒し、徐々に餓死への道をたどることになる。 保存の処置を取らなければ傷んで食べられなくなる食料もある。 冷凍箱や缶詰に入っている食料は通常はいつまでも傷まないが、冷凍箱は重いし缶詰は開けるのに少しばかり時間が必要である。
怪物を殺すと通常はその死体が残るが、これは "食料" にもなる。 すべてと言うわけではないが多くは食べられるし、中には食べると特別な力がつく物もある。 つまり大ざっぱに言えば "食べたものになる" ということである。
fruit オプションが使えるようになっている場合は、これを使って貴方の好物の食料の名前を一つ設定することができる。
食料を食べるためのコマンドは 'e'(eat: 食べる)である。
巻物('?')
巻物にはいろいろな表題が付けられているが、これはおそらくいにしえの魔術師たちが戯れに選んだのであろう(例: "READ ME" や "HOLY BIBLE" の逆さ読み)。 巻物は読むと消滅する(ただし魔法の呪文の書かれていない白紙は消滅しない)。
これらの中で最も利用価値の高いものは scroll of identify(鑑定の巻物)である。 これは他の物についてそれが何であるか、呪われているか祝福されているか、あと何回効力を発揮できるかを確定できる。 得体の知れない魔力を持つ物の中にはこの巻物なしでは何であるか鑑定し難いものもある。
mail daemonは、走り寄ってきてメールを scroll of mail として配達してくれる(この機能を有効にしてコンパイルされているバージョンの場合)。 NetHack でこの機能を使用するには、電子メールの到着によってメールシステムが起動される環境でなければならない。 また、環境変数 "MAIL" に貴方のメールボックスのファイル名を設定して NetHack に新しいメールを探す場所を知らせなければならない。 また環境変数 "MAILREADER" に使いたいメール受信プログラムのファイル名を設定することもできる。 このとき NetHack からそのプログラムを起動してその巻物を読むことができる。 メールの到着を、ゲーム内でランダムにシミュレートするバージョンの場合、これらの環境変数はすべて無視される。 オプション mail の設定により、mail daemonが登場しないようにすることも可能だ。
巻物を読むためのコマンドは 'r'(read: 読む)である。
水薬('!')
水薬は小びんに入っている液体の色によって区別される。 水薬は飲むと消滅してしまう。
透明な水薬(clear potion)は水である。 これらはしばしば祝福されていたり呪いがかけられていたりして、聖水や不浄な水になったりする。 不死の怪物にとって聖水は有害なので、聖水を不死の怪物に投げつける('t')と有効である。 聖水に他の物を浸す("#dip")のもたいへん有益である。
水薬を飲むためのコマンドは 'q'(quaff: 飲む)である。
杖('/')
魔法の杖は通常何回も魔力を発揮する。 杖の中には、指向性を持っていて振る方向を指示しなくてはならないものがある。 杖を自分に向けて振ることもできる(方向として '.' か 's' を指定する)が、これはしばしば愚かな行為となる。 その他の指向性を持たない杖は、振る方向の指定を必要としない。 杖が効力を発揮する回数は杖ごとに不定で、杖を使うたびにその回数は1ずつ減る。
魔法の杖の効力がゼロになってしまうと、杖を使おうとしても何も起こらない(nothing happening)。 だがまれに、使い切ってしまった杖から最後のマナを絞り出すことができる。
逃げ場もなく壁に背を付けているような絶体絶命のピンチに陥ってしまったときには、魔法の杖を打ち壊す決心をすべきである。 ただし、これは意気地のないものにはお勧めできない。 杖を打ち壊すと、その魔法のパワーが破滅的な勢いで解放されるからである。
杖を使うためのコマンドは 'z'(zap: 杖を振る)である。
杖を打ち壊すには 'a'(apply: 道具を用いる)を使う。
指輪('=')
指輪は大変役に立つアイテムである。 というのも水薬や巻物や杖はつかの間の威力しか持たないが、指輪の魔力はそれに比べれば恒久的であるからだ。 指輪をはめることによってその魔力は発揮される。 指輪は両手の薬指に一つずつ、計二つしかはめることはできない。 またたいていの指輪ははめると腹の減り方が速くなる。 減り方は指輪の種類によって異なる。
指輪を使うためのコマンドは 'P'(put on: 指輪をはめる)と 'R'(remove: 指輪を外す)である。
魔術書('+')
魔術書(spell book)は強力な魔法を記した大きな本である。 'r'(read: 読む)コマンドで学ぶと呪文の知識が身につくか、さもなくばその試みは期待に反した結果に終わる。 呪われた魔術書や貴方の知識が及ばない神秘のルーン文字で記された魔術書を読むと、健康状態に害が及ぶことがある!
身につけた呪文を唱えたときでも、期待に反した結果となることがある。 貴方の経験レベルでは遠く及ばない高度な呪文を唱えようと試みたり、ひどくついてないときに呪文を唱えたりすると、呪文を唱えるのに必要なエネルギーと時間を浪費しただけに終わってしまうこともある。
呪文を唱えることは、魔法のエネルギーを呼び起こしてそれを精神そのものに集中させることである。 魔法のエネルギーを放つときには呪文に関する記憶の一部も同時に失われる。 ある呪文を唱えるたびにその呪文に対する造詣が浅くなり、ついには詳細を完全に忘れてしまってもう一度呪文を学ばねばならなくなる。
魔術書を読むためのコマンドは巻物を読むときと同じく 'r'(read: 読む)である。
'+' コマンドにより知っている呪文とそれを唱えるのに必要とされる魔力が一覧表示される。
'Z'(cast: 呪文を唱える)コマンドにより呪文を唱える。
道具('(')
道具はいろいろな目的に使う種々雑多な物である。 杖と同じように使用回数に制限のある物もある。 例えばランプはしばらくたつと燃え尽きてしまう。 その他の道具の中には容器も含まれており、物を出し入れすることができる。
道具を使うためのコマンドは 'a'(apply: 道具を用いる)である。
櫃と箱
冒険の途中で櫃(ひつ)や箱に出くわすこともあるだろう。 これらは床に置いてあるときには拡張コマンド "#loot" によって、また持っているときには 'a'(apply: 道具を用いる)コマンドで開けることができる。 しかしながら櫃にはよく鍵がかかっており、手に持って使えるようなものではないことから、蹴り飛ばしたり、'a'(apply: 道具を用いる)で鍵や錠前破りの道具を用いたり、拡張コマンド "#force" によって武器を使ってこじ開けたりする前に、床に降ろしておく必要がある。
櫃には罠が仕掛けられているものもあり、錠を外したりふたを開けたりするとひどい目にあう。
拡張コマンド "#untrap" を使えば罠が仕掛けられているかどうか調べたり、罠を無効にしようと試みることができる。
護符('"')
護符は指輪と大変よく似ているが、もっと大きな効力を持っている。 指輪と同じように護符にはいろいろな魔法的特性があり、その中には有益なものも有害なものもある。 護符は、身に着けることにより効力が発揮される。
首の回りに付けるため、一度に身に付けられる護符は一つだけである。
護符を使うためのコマンドは指輪の場合と同じく 'P'(put on: はめる)と 'R'(remove: 外す)である。
宝石('*')
宝石の中には、価値があって多額の金になるものもある。 つまり宝石は貴方の財産を手軽に持ち運ぶ効果的な手段ともいえる。 価値のある宝石はゲーム終了時に所持していれば得点に加算される。
他の小さな石も宝石に分類されるが、その価値はほとんどない。
しかしながらすべての石は、投石器を持っていれば射的可能な武器として使うことができる。
仮に投石器がなくとも、素手で投げつける手段がまだ残されている。
大きな岩('`')
彫像や巨石はとくに有用ではないし、一般に大変重いものである。
だが噂では、見かけとは異なった彫像もあるということだ。
金('$')
金は得点に加算され、また店では金で物を買うことができる。
貴方がプレイしているバージョンの NetHack ではステータス行に所持する金の量が表示されているかもしれない。
そうでなくても '$' コマンドで金を数えることができる。
洞窟には貴方の所持する金に引き寄せられる怪物もいる(店主は別として)。
8 オプション
人によっていろいろな好みがあり NetHack の遊び方もそれぞれ異なっているので、NetHack ではオプションを設定して動作様式を変更することができる。
オプションの設定
オプションを設定するにはいくつかの方法がある。
ゲームのプレイ中では 'O' コマンドを使えばすべてオプションの状態を調べることができ、そのうちたいていのオプションの設定を変更することができる。
環境変数 "NETHACKOPTIONS" またはコンフィギュレーションファイルにオプションを書いておき、自動的にそれらのオプションを設定することも可能だ。
ゲームを始める前にオプションの設定を行うためのフロントエンド・プログラムが提供されているバージョンもある。
環境変数 NETHACKOPTIONS の使用
環境変数 NETHACKOPTIONS にはいろいろなオプションの初期値をカンマで区切って列挙し設定する。 オプションのうちのいくつかはオンかオフの選択をするだけのものである。 そのようなオプションはオプション名をリストに加えればオンになり、オプション名の前に '!' か "no" を入力するとオフになる。 その他のオプションでは文字列を設定値として必要とする。 これらのオプションを設定するにはオプション名、コロン、設定値を順に入力すればよい。 設定値は次のカンマもしくは文字列の最後までとなる。
例えば "female" がオン、"autopickup" がオフ、name が "Blue Meanie" に、fruit が "papaya" になるように環境変数を設定するには csh では次のコマンドを入力すればよい(shellにとって特殊文字である ! にはエスケープが必要なことに注意)。
setenv NETHACKOPTIONS "female,\!autopickup,name:Blue Meanie,fruit:papaya"sh または ksh では
NETHACKOPTIONS="female,!autopickup,name:Blue Meanie,fruit:papaya"とすればよい。
export NETHACKOPTIONS
コンフィギュレーションファイル中で "OPTIONS=" で始まる行には、NETHACKOPTIONSと同じ書式でオプションを書き込むことができる。 "DUNGEON="、"EFFECTS="、"MONSTERS="、"OBJECTS="、"{TRAPS=" で始まる行は、それぞれ dungeon、effects、monsters、objects、traps オプションを定義するが、コンフィギュレーションファイル中では書式が異なり、表示に用いる文字を現在使用中のフォントにおける位置を示す10進数で順次指定する。 この指定数字列は行末に '\' を置くと複数行に分けて書くことができる。 どの行も、'#' で始まるものはコメント行である。
コンフィギュレーションファイルの標準設定の名前はオペレーティングシステムによって異なる。
しかしNETHACKOPTIONSにファイル名をフルパスで設定すれば希望のファイルを使うこともできる(ファイル名の前に '@' を置いて指定すればよい)。
カスタマイズオプション
以下にいろいろなオプションの役割を説明する。 長すぎる文字列は、切り捨てられることもある。 貴方のバージョンでは無効となっているオプションがあるかもしれない。
- autopickup
- 物の上を通ったときにそれを拾う(標準設定はオン)。
- BIOS
- IBM PCと互換性のあるBIOS ROMを持つ機種、ならびにNEC PC-9800シリーズで、BIOSを呼び出して高速な画面表示とキーの読み込み(移動にカーソルキーが使用できる)を行う(標準設定はオフ、OS/2、PC、ST NetHack および PC-9800シリーズ のみ)。
- catname
- スタート時の猫の名前(例: "catname:Morris")。 'O' コマンドで設定することはできない。
- checkpoint
- 洞窟の階を移動するたびにゲームの状態を保存する。 プログラムがクラッシュしたとき復元できるようにするためのオプションである(標準設定はオン)。
- color
- いろいろな怪物、物、洞窟の地形をカラーで表示する(マイクロコンピュータでは標準設定はオン)。
- confirm
- ペット、店主やその他の敵意を持っていない生物を攻撃しようとしたときに確認をする(標準設定はオン)。
- DECgraphics
- 洞窟の表示に用いるグラフィック文字を貴方自身ですべて定義する代わりに、DEC VT-xxx/DEC Rainbow/ANSI罫線文字セットからあらかじめ用意された設定を使用する(標準設定はオフ)。 'O' コマンドで設定することはできない。
- disclose
- ゲーム終了時にいろいろな情報を表示する(標準設定は全部)。 設定できるのは持物の鑑定('i')、属性の公開('a')、退治した怪物の概要('v')、皆殺しにした怪物の種の一覧('g')である。 退治した怪物の一覧には罠や同士討ちによって死んだものも含まれることに注意。
- dogname
- スタート時の犬の名前(例: "dogname:Fang")。 'O'コマンドで設定することはできない。
- dungeon
- 洞窟の表示のためのグラフィックシンボルを設定する(標準設定は" |--------||.-|++.##<><>_\\#{}.}..## #}")。 標準設定のシンボルの代わりに地図を描くのに使用する1〜38文字の文字列を指定する。 標準設定のシンボルの代わりにここで設定した文字を使って洞窟の地図が表示される。 例えば csh を使っているなら、これらの文字のうちいくつかはエスケープしなければならないことを覚えておいて欲しい。
このオプション文字列には慣例的なC言語風エスケープ処理が施される。 つまり、'\' は次に現れる文字そのものを表す前置文字、特殊エスケープ '\m' は次の文字のメタビットをオンにする前置文字、'^' は次の文字をコントロールとして扱うことを示す。
シンボルの順序は以下の通りである。 地中、壁(縦)、壁(横)、左上の角、右上の角、左下の角、右下の角、壁の交叉、上向きのT字状の壁、下向きのT字状の壁、左向きのT字状の壁、右向きのT字状の壁、扉のない出入口、開いた扉(縦)、開いた扉(横)、閉じた扉(縦)、閉じた扉(横)、部屋の床、暗い通路、明るい通路、上への階段、下への階段、上へのはしご、下へのはしご、祭壇、玉座、台所の流し台、泉、水たまりまたは掘、氷、溶岩、降りている可動橋(縦)、降りている可動橋(横)、上がっている可動橋(縦)、上がっている可動橋(横)、空気、雲、水中。
角とT字状の壁に '+' を使えばより美しい四角の表示が得られるかもしれない。 次のリリースでは新しいシンボルが加わるか現在のものが再構成される可能性があるので注意して欲しい。
'O' コマンドで設定することはできない。
- effects
- 視覚効果の表示に用いるグラフィック文字を設定する(標準設定は "|-\\/*!)(0#@*/-\\||\\-//-\\| |\\-/")。 effectsオプションは1〜29文字からなる文字列を指定する。 視覚効果のシンボルの代わりにここで設定した文字を使って表示される。 この文字列は dungeonオプションと同じエスケープ処理が施される。
記号の順序は次の通りである。 光線(縦)、光線(横)、光線(左斜線)、光線(右斜線)、穴掘り光線、カメラのフラッシュ光線、ブーメラン(左向き)、ブーメラン(右向き)、魔法への抵抗の過程を表示する4個のシンボル、飲み込まれた状態を表示する8個のシンボル、爆発を示す9個のシンボル。 爆発は3個のシンボルを3列(上、中、下)使って表す。 爆発はこの 3×3 の枠の中心で起きる。
次のリリースでは新しいシンボルが加わるか現在のものが再構成される可能性があるので注意して欲しい。
'O' コマンドで設定することはできない。
- female
- 性別が女性であることを示す(標準設定はオフ)。 'O' コマンドで設定することはできない。
- fixinv
- 持物の目録記号と物との対応はその物を下に置いても変化しない(標準設定はオン)。 オフにしたときは、物を下に置くとそれ以降の記号と物との対応が一つずつずれる。
- fruit
- 貴方の好物の果物にちなんでその名前を設定する(例: "fruit:mango")(標準設定は"slime mold")。 元来 NetHack で時々使われる懐古趣味的な妙な言葉である。 slime mold(ネバネバしたかび)よりももっと食欲のわく食べ物を設定した方がよいだろう。 apple、orange、pear、banana、melon は NetHack にはもう存在しているので設定してはならない。
- help
- '/' コマンドを使って調べている物について何らかの情報がある場合、それを 見るかどうかを尋ねる(標準設定はオン)。 help オプションをオフにすれば "More info?" というプロンプトに煩わされなくなるので、素早く物を調べることができる。 しかしそれは興味深く重要な情報を見逃してしまうかもしれないということも意味する。
- hilite_pet
- ペットと、同種の怪物との視覚的な区別を行う(標準設定はオフ)。 テキスト表示のとき、カラー表示でない場合のペットはハイライト表示となる。 タイルモードではペットの脇にハートマークが表示される。
- IBMgraphics
- 洞窟の表示に用いるグラフィック文字を貴方自身ですべて定義する代わりに、 あらかじめ用意されたIBM拡張ANSI文字を使用する(標準設定はオフ)。 このオプションは端末でグラフィック文字を正しく処理する ための設定も行うので、標準の文字セットを用いずに貴方自身でグラフィック 文字列を設定する場合でも必ずこのオプションを設定すべきである。 'O' コマンドで設定することはできない。
- ignintr
- ブレークを含む割り込み信号を無視する(標準設定はオフ)。
- legacy
- ゲームの最初に紹介のメッセージを表示する(標準設定はオン)。
- lit_corridor
- 夜目が効くか光源を持っているために通路を見ることができるとき、その通路を 明るいものとして表示する(標準設定はオフ)。
- male
- 性別が男性であることを示す(標準設定はオン、ハッカーの多くは男である)。 'O' コマンドで設定することはできない。
- menustyle
- 多くの物から選択を行うとき(例えば D コマンド実行時)のインターフェースを決定する。 traditional、combination、partial、fullの4つのうち、どれかひとつ(頭文字だけでよい)を指定する。 traditionalは以前のバージョンと同じインターフェースであることを示す。 すなわちアイテムの種別を指定するプロンプトが表示され、続いて選んだ種別のアイテムが順次表示される。 combinationはtraditionalと同じ種別指定のプロンプトが表示されるが、選択した種別のアイテムはメニュー状に表示される。 partialは種別指定を飛ばして、即座に全アイテムのメニュー表示モードに移る。 fullは種別選択、アイテム表示共にメニュー表示される。
- menu_deselect_page
- メニューの現在のページにおいて選択アイテムをすべて未選択に変更するショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '\'。
- menu_first_page
- メニューの最初のページにジャンプするショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '^'。
- menu_invert_all
- メニューのすべてのアイテムの選択・未選択状態を反転させるショートカットーキー。 X11とTTYモードの両方で使用できる。 デフォルトは '@'。
- menu_invert_page
- メニューの現在のページにおけるアイテムの選択・未選択状態を反転させるショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '~'。
- menu_last_page
- メニューの最後のページにジャンプするショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '|'。
- menu_next_page
- メニューの次のページにジャンプするショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '>'。
- menu_previous_page
- メニューの前のページにジャンプするショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは '<'。
- menu_search
- メニューのアイテムを検索するショートカットキー。 X11モード専用。 デフォルトは ':'。
- menu_select_all
- メニューのすべてのアイテムを選択するショートカットキー。 X11とTTYモードの両方で使用できる。 デフォルトは '.'。
- menu_select_page
- メニューの現在のページにおけるすべてのアイテムを選択するショートカットキー。 TTYモード専用。 デフォルトは ','。
- monsters
- 怪物の種類を表示するための文字を設定する(標準設定は "abcdefghijklmnopqrstuvwxyz ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ@ '&;:~]")。 この文字列は dungeon オプションと同様に処理される。 シンボルは以下の順序である。 アリやその他の昆虫、ブロブ、コカトリス、 犬やイヌ科の動物、目玉や球体、ネコ科の動物、 グレムリン、人型の生物、インプや低級デーモン、 ゼリー、コボルド、レプリコーン、 ミミック、ニンフ、オーク、 突き刺すもの、四つ足動物、齧歯動物、 蜘蛛、トラッパーや天井に潜むもの、ユニコーン、 ボルテックス、ワーム、ザンやその他の架空の昆虫、 ライト、ズルティ、 天使のような生物、コウモリ、ケンタウロス、 ドラゴン、エレメンタル、苔や黴、 ノーム、巨大な人型の生物、インビジブルストーカー、 ジャバウォック、キーストーンコップ、リッチ、 ミイラ、ナーガ、オーガ、 プディングやウーズ、クォンタムメカニック、ラストモンスター、 蛇、トロール、アンバーハルク、 バンパイア、レイス、ゾーン、 イエティ・エイプやその他の大型の獣、ゾンビ、 人間、ゴースト、ゴーレム、 デーモン、海の怪物、トカゲ、 ロングワームの尻尾、ミミック。 'O' コマンドで設定することはできない。
- msghistory
- 最上行に表示されるメッセージの保存数('^P' で呼び出す)(標準設定は20)。 'O' コマンドで設定することはできない。
- name
- 貴方のキャラクタの名前を設定する(標準設定は貴方のユーザ名)。 -とキャラクタの種類の頭文字を付け加える(つまり"-A -B -C -E -H -K -P -R -S -T -V -W"のどれかを後に付ける)ことによって種類を設定することもできる。 種類として"-@"を指定すると自動的にランダムに種類が選ばれる。 'O' コマンドで設定することはできない。
- news
- NetHack のニュースファイルがあればそれを読む(標準設定はオン)。 ニュースはゲームの最初に表示されるので 'O' コマンドでこれを設定するのは無意味である。
- null
- 端末にパディングのためのヌル文字を送る(標準設定はオフ)。
- number_pad
- [yuhjklbn] のキーのかわりにテンキーを移動に使う(標準設定はオフ)。
- objects
- 物の種類を表示するための文字を設定する(標準設定は"])[="(%!?+/$*`0_.")。 この文字列は dungeon オプションと同様に処理される。 シンボルは以下の順序である。 不正な物(表示されないはずである)、武器、防具、指輪、護符、道具、 食料、水薬、巻物、魔術書、杖、金、宝石または石、巨石または彫像、 鉄球、鎖、毒液。 'O' コマンドで設定することはできない。
- packorder
- 物の種類を表示するときの順番を指定する(標準設定は"\")[%?+/=!(*`0_")。 このオプションにはアイテムの種類を表すシンボルの列を設定する。
- perm_invent
- 常に所持品リストを画面に表示する。 ウィンドウシステムをサポートしている場合のみ有効である(標準設定はオフ)。
- pettype
- プレイしているキャラクタがどちらの種類のペットでも使える職業のとき、最初に連れて行くペットの種類を指定する。 設定できる値は "cat" および "dog"である。 'O' コマンドで設定することはできない。
- pickup_types
- autopickup オプションがオンのとき、拾う物の種類を指定する。 標準設定は全種類である。
- rawio
- raw(non-ctrl-break)モードを使用して、より高速な出力と頑強な入力を実現する (MS-DOSではプリンタがないにも関わらず '^P' をプリンタ出力のトグルとみなしてしまうことがある)(標準設定はオフ)。 注意: DEC Rainbowではこれがオンのときはハングアップしてしまう。 'O' コマンドで設定することはできない。
- rest_on_space
- スペースキーを '.'(rest: 休憩する)コマンドとして使用する(標準設定はオフ)。
- safe_pet
- ペットを(ペットと知りつつ)攻撃してしまうのを防ぐ(標準設定はオン)。
- scores
- ゲーム終了時に得点一覧のどの部分を表示させるかを制御する(例: "scores:5top scores/4around my score/own scores")。 得点一覧のこれらの範疇を表示させるには、その頭文字('t'、'a'、'o')のみ書けばよい。
- showexp
- それまでに獲得した経験ポイントを最下行に表示する(標準設定はオフ)。
- showscore
- それまでに獲得したおおよその得点を最下行に表示する(標準設定はオフ)。
- silent
- 端末のビープ音を鳴らさない(標準設定はオン)。
- sortpack
- 持物の目録を表示するとき種類によって荷物の内容を並べ替える(標準設定はオン)。
- standout
- 怪物と"--More--"を太字で表示する(標準設定はオフ)。
- time
- ゲームで経過した時間をターン数で最下行に表示する(標準設定はオフ)。
- timed_delay
- 爆発や動作などの視覚効果の表示のために、タイマではなく特殊文字によって画面表示を一時停止する("tty"インターフェースに限る。 "X11"のときには常にタイマが利用される。 デフォルトはコンパイル時オプションによる)。
- tombstone
- 死んだとき墓石を表示する(標準設定はオン)。
- toptenwin
- エンディング表示を、標準出力ではなくウィンドウ表示とする(標準設定はオフ)。 この設定は、ウィンドウ版のNetHackを親ウィンドウなしで起動した場合でも、ゲーム終了後に得点表示を残しておくためのものである。
- traps
- 罠を表示するためのグラフィックシンボルを設定する(標準設定は"^^^^^^^^^^^^^^^^^#^^^^")。 標準設定のシンボルの代わりに罠を描画するのに使用する1〜22文字の文字列を指定する。 この文字列は dungeon と同様に処理される。
シンボルは以下の順序である。 矢の罠、ダーツの罠、落石の罠、軋み罠、虎口、 地雷、岩石落し、催眠ガス、腐食罠、火炎罠、 落し穴、槍付き落し穴、穴、落し戸、テレポート罠、レベル・テレポーター、 魔法の通路、蜘蛛の巣、石化罠、魔法罠、反魔法場、変化罠。
'O' コマンドで設定することはできない。
- verbose
- ゲーム中のコメントを詳細に表示する(標準設定はオン)。
- videocolors
- NO_TERMSを使っているPCシステムでカラーパレットを設定する(標準設定は4 2 6 1 5 3 12 10 14 9 13 11)。 色は以下の順序である。 赤、緑、茶、青、マゼンタ、シアン、明るい赤、明るい緑、黄、明るい青、明るいマゼンタ、明るいシアン。 'O' コマンドで設定することはできない。
- videoshades
- 3段階のグレー表示の輝度レベルを設定する (標準設定はdark normal light、PC NetHackのみ)。 ゲームの画面表示が読みにくいときはこれらのスケールを調整してみること。 これでもうまくいかないときは !color を試してみること。 'O' コマンドで設定することはできない。
- windowtype
- 使用するウィンドウシステムを選択する。"tty" または "X11" を設定する(標準設定はバージョンによって異なる)。 'O' コマンドで設定することはできない。
NetHack は設定によって、高得点の一覧または高得点者の一覧のどちらかを保持する。 後者の設定になっている場合、ゲームをコンプリートした場合を除きそのマシンの一つのアカウントにつき一つしかこの一覧に載らない。 貴方がこの一覧に載っている他の誰かより高い得点を取ったとき、もしくは貴方の前の得点より高い得点を取ったときに、その一覧のしかるべき位置に貴方の名前が載る。 得点が何個まで載るかもコンパイル時に設定できる。
得点は主に経験ポイント、戦利品、到達した階とゲームの終わり方に基づいている。 ゲームを放棄した場合には持っている金を全額手にして脱出できる。 しかし「恐怖の迷宮」の中で殺された場合には、亡骸が発見されると持っている金の 90% だけがギルドに伝えられる(冒険者は亡骸を発見した場合には手数料を取ることが知られている)。 したがって怪物にさらに一撃を加えて運あらば生き残らんとするか、放棄してその時点で持っている物で終了するかは貴方が決めることである。 放棄した場合はすべての金を手にすることができる。 しかし戦って生き残ればさらに多くを得ることができるかもしれない。
現時点の高得点者・高得点の一覧を見たい場合には、たいていのバージョンで
と入力すればよい。nethack -s all
NetHack は複雑で難しいゲームである。 初心者は生き残る術を知らないことに気づき、恐怖に怖じ気付いてしまうかもしれない。 しかし恐れることはない。 貴方のバージョンの NetHack に"探検" もしくは "発見" モードがある場合には、高得点の一覧に載らないという取るに足らないデメリットと引き換えに、前のセーブファイルを残しておけたり不死身と化すことができるのである。
探検モードに入るには二通りの方法がある。
一つはゲームの開始時に -X スイッチを付けることである。
もう一つはゲームのプレイ中に 'X' コマンドを入力することである。
探検モードで得られる他の利点は臆病な読者諸君自ら確かめて欲しい。
11 クレジット
最初の hack というゲームはバークレイ版 UNIX のゲーム rogue をモデルとしている。 この文書の大部分は Michael C. Toy と Kenneth C. R. C. Arnold の手になる A Guide to the Dungeons of Doom を図々しくも盗用したものである。 また一部は Ken Arromdee による Further Exploration of the Dungeons of Doom から採っている。
NetHack は文字どおり何十人もの人々の手によって完成された。 以下はゲームの開発の過程での主な出来事である。
Jay Fenlason は Kenny Woodland、Mike Thome、Jon Payneらの助けを得て最初の Hack を書いた。
Andries Brouwer はプログラムを大幅に書き換えて Hack を元とはかなり異なったゲームに仕立て上げ、UNIX マシン用の(少なくとも)3バージョン(1.0.1、1.0.2、1.0.3)を Usenet で発表した。
Don G. Kneller は Hack 1.0.3を Microsoft C を用いて MS-DOS へ移植し、PC Hack 1.01e を作成した。 バージョン 1.03g では DEC Rainbowの グラフィックをサポートし、続いて少なくともあと四つのバージョン(3.0、3.2、3.51、3.6)を作成した。
R. Black は PC Hack 3.51 を Lattice C を用いて Atari 520/1040ST へ移植し、ST Hack 1.03 を作成した。
Mike Stephenson はこれらのいろいろなバージョンを再び一つに統合し、多くの付加機能を合併して NetHack バージョン 1.4 を作成した。 さらに彼は何千人もの人々に作業を分担して NetHack 1.4 の拡張とデバッグを行い、 NetHack バージョン 2.2 と 2.3 を発表した。
さらにその後、Mikeは Ken Arromdee、Jean-Christophe Collet、Steve Creps、Eric Hendrickson、Izchak Miller、Eric S. Raymond、John Rupley、Mike Threepoint、Janet Walz らを含むチームを率いてゲームの大幅な書き直しを行い、NetHack 3.0c を作成した。
NetHack 3.0は Eric R. Smithによって Atari へ、Timo Hakulinenによって OS/2 へ、David Gentzel によってVMSへ移植された。 この3人と Kevin Darcy はその後主力開発チームに加わり、3.0 のその後のいくつかの改訂版を作成した。
Olaf Seibert は NetHack 2.3 と 3.0 を Amiga へ移植した。 Norm Meluch、Stephen Spackman、Pierre Martineau は PC NetHack 3.0 用のオーバーレイマネジャを設計した。 Johnny Lee は NetHack 3.0 を Macintosh へ移植した。 彼らは他のさまざまな洞窟の主たちとともに PC、Macintosh、Amiga の移植版の拡張を続け、3.0 のその後のいくつかの改訂版を作成した。
現在は Mike Stephenson が開発チームを率い、Izchak Miller と Janet Walz がまとめ役を務めている。 開発チームには Ken Arromdee、David Cohrs、Jean-Christophe Collet、Kevin Darcy、Matt Day、Timo Hakulinen、Steve Linhart、Dean Luick、Pat Rankin、Eric Raymond、Eric Smithらが参加しており、3.0 の根本的な改訂に取り掛かった。 彼らはゲームデザインを再構成しコードの大部分を書き直した。 複数の部分に分かれた洞窟、新しい画面表示、各キャラクタごとの特別なクエスト、新しいエンドゲームやその他たくさんの新しい機能を追加し、NetHack 3.1 を作成した。
Ken Lorber、Gregg Wonderly、Greg Olson は Richard Addison、Mike Passaretti、Olaf Seibertらの 助けを得て Amiga 用の NetHack 3.1 を開発した。
Norm Meluch と Kevin Smolkowski は Carl Schelin、Stephen Spackman、Steve VanDevender、Paul Winner らの助けを得て NetHack 3.1 を PC に移植した。
Jon Wätte と Hao-yang Wang は Ross Brown、Mike Engber、David Hairston、Michael Hamel、Jonathan Handler、Johnny Lee、Tim Lennan、Rob Menke、Andy Swanson らの助けを得て MPW を用いて Macintosh 用の NetHack 3.1 を開発した。 それに加えBarton House は Think C を用いて移植を行った。
Timo Hakulinen は NetHack 3.1 を OS/2 へ移植した。 Eric Smith は NetHack 3.1 を Atari へ移植した。 Pat Rankin は Joshua Delahunty の助けを得て NetHack 3.1 の VMS バージョンを担当している。 Michael Allison は NetHack 3.1 を Windows NT へ移植した。
Dean Luick は David Cohrs の助けを得て X11 用の NetHack 3.1 を開発した。
Michael Allison、Ken Arromdee、David Cohrs、Jessie Collet、Steve Creps、Kevin Darcy、Timo Hakulinen、Steve Linhart、Dean Luick、Pat Rankin、Eric Smith、Mike Stephenson、Janet Walz、Paul Winner らを含む開発チームは、バージョン 3.2 を1996年4月にリリースした。
バージョン 3.2 のリリースは開発チームが結成されて10周年目にあたる。 NetHackに献身するという信念によって、開発チーム当初からの13人の全員が本リリースの開発にも参加することとなった。 バージョン 3.1.3 と 3.2 の間に、開発チーム設立メンバーの一人であった Dr. Izchak Miller が癌と診断されこの世を去った。 開発チーム並びに移植チームは本リリースを彼に捧げる。
Pat Rankin は VMS 版 3.2 を担当している。
Michael Allison、Yitzhak Sapir ならびに Paul Winnerは、 Steve Linhart、Kevin Smolkowski、Mike Stephenson、 Stephen White の助けを得て 3.2 を MS-DOS に移植した。 Keizo Yamamoto と Ken Washikita は、 日本で普及しているパソコン NEC PC9800 シリーズへの移植を行った。
Ken Lorber、Andy Church ならびに Gregg Wonderly は Richard Addison の助けを得て 3.2 を Amiga に移植した。
Dean Luick は 3.2 を Macintosh に移植した。
Eric Smith と Warwick Allison は 3.2 を Atari に移植した。
Michael Allison は 3.2 を Microsoft Windows NT に移植した。
Timo Hakulinen は OS/2 への移植を担当した。
時々ネットワークの世界のどうしようもない連中が、ゲームの改良の手助けを しようとしてとりわけ興味をそそるような修正を送ってよこす。 「洞窟の神々」はときに、こういった悪党のうちでも最も邪悪な連中の名前を 書き留めておく。そしてこれがその洞窟の主たちの一覧である。
Andy Church | Helge Hafting | Mike Gallop |
Andy Swanson | Izchak Miller | Mike Passaretti |
Ari Huttunen | Janet Walz | Mike Stephenson |
Barton House | Jean-Christophe Collet | Norm Meluch |
Benson I. Margulies | Jochen Erwied | Olaf Seibert |
Bill Dyer | John Kallen | Pat Rankin |
Boudewijn Wayers | John Rupley | Paul Winner |
Bruce Holloway | John S. Bien | Pierre Martineau |
Bruce Mewborne | Johnny Lee | Ralf Brown |
Carl Schelin | Jon Wätte | Richard Addison |
David Cohrs | Jonathan Handler | Richard P. Hughey |
David Gentzel | Joshua Delahunty | Rob Menke |
David Hairston | Keizo Yamamoto | Roland McGrath |
Dean Luick | Ken Arromdee | Ross Brown |
Del Lamb | Ken Lorber | Scott R. Turner |
Deron Meranda | Ken Washikita | Stephen Spackman |
Eric Backus | Kevin Darcy | Stephen White |
Eric Hendrickson | Kevin Sitze | Steve Creps |
Eric R. Smith | Kevin Smolkowski | Steve Linhart |
Eric S. Raymond | Kevin Sweet | Steve VanDevender |
Frederick Roeber | Mark Gooderum | Tim Lennan |
Gil Neiger | Matthew Day | Timo Hakulinen |
Greg Laskin | Merlyn LeRoy | Tom Almy |
Greg Olson | Michael Allison | Tom West |
Gregg Wonderly | Michael Hamel | Warwick Allison |
Hao-yang Wang | Michael Sokolov | Yitzhak Sapir |