書店

真の読書家というのは、どれぐらいの本を読んでいるのだろうか。 毎日3冊とか、月に100冊とか読めば、読書家として認められるのだろうか。 蔵書が10万冊とかあればいいのだろうか(無論全部読んだ本でなければならん)。 そうでなくてもいいのだろうか。

僕は読書が大好きだが、自分が読書家だとは思っていない。 それほどたくさん読んでいるとも思わない。 自分よりたくさん読む人、たくさん本を持っている人はごまんといる。 そんな人達と比べてみれば、自分が読む量などたかが知れている。 もっともそれにあこがれるとか、読書家と呼ばれたいと思っているわけではない。 どちらかといえば僕は、大量の本に囲まれていることにあこがれる。 小学生のときからヒマな時に行く場所は図書館と相場が決まっていたし、 高校生のころ放課後に行くのはゲームセンターとその横にある書店 (いりなかの三洋堂です)だった。

図書館ではすべての本をじっくり読みふけるというより、 ただあちこちをうろうろして、ときおり本を手に取ってパラパラめくったりして、 またすぐ書架に返してうろつきまわるというのが好きだった。 書店でも、図書館と同じようなパターンで行動しているように思う。 立ち読みばかりが多くて、実際に本を買うことは少ないのだ。 高校生のころには、金がなくて買えない本を4時間ぐらいで立ち読みしたり、 1週間通い続けて1冊の本を読みきったりなんてこともした。 むろん、今は読みたい本は買ってしまって家でゆっくり読んでいるが、 それでももし立ち読み日記をつけたとすれば、 今の diary ページの3倍は書けると思う。 もちろん書名や著者名を覚えきれないので、後で感想を書くなんてことはできないのだけど。 まあ、分量だけは稼げるんじゃないかと思う。

いきつけの書店というのは、だいたい通いやすい場所、 たとえば通勤路の途中にあるとかいうつまらない理由で選ぶことが多い。 品揃えの充実度とか店員の愛想度なんていうのは、二の次三の次になる。 営業時間も重要なファクターだ。 夜中の12時までやっている書店には、11時で閉まってしまう店よりもたくさん通っている。 品揃えが問題になるのは、買おうと思っている本を探すときぐらいで、 無目的にさまようのが目的のときは、 蔵書量が多くて立ち読みするのに十分なスペースと寛容な店員のいる店ならばどこでもよい。 などと書くと条件が無茶苦茶厳しいように見えるが、実はこの程度の書店は近所に三件もあるのだ。

品揃えの面から最近の書店を分析してみると、合格ラインに達している書店は非常に数が少ない。 僕はもともと名古屋生まれで、名古屋には充実した書店がたくさんあったせいかもしれないが、東京や横浜ではなかなかいい書店にめぐり合えないような気がする。 蔵書量の多い書店は確かに多く、店も広くて印象はいいのだが、 品揃えがあまりにも一般受けを狙いすぎていて、 どこも同じ本しか置いていないのだ。 だから書店にない本を探してあちこちまわってみても、 結局どこにも置いていないということになってしまう。 結局品揃えというのは自分の趣味とどれぐらい一致するかということなので、 僕にとってダメな書店が誰にとってもダメということはないのだけれど、 それにしたって他店との差別化をはからなければいかんのじゃないのかっ、と思ってしまうほど、どの店も品揃えがよく似ている。 個性が現れるのはコーナーの配置か、せいぜいマンガの品揃えだろう。 聞くところによるとマンガのコーナーは、詳しい人が担当につくか否かで充実度に大きな差が出るらしいのだ。 もっとも同人系とかやおいに詳しい人を連れてきてしまったのでは元も子もないのだが…。 まあ、他の書籍にしたって同じなのだろうけど。

というわけで乱暴にまとめると、新宿紀伊国屋はいい本屋だが、遠いうえに閉店時間が早いのでいちいち通っていられないのだった。

Nov-27-1997


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