拍手係

父の目

日暮れを待って船を出し
王子が現れるのを待つ
魂を回復させる癒しの雨が
降ることを祈りつつ

走って逃げる乞食のように
なぜおれはここにいるのか
いままで何をしてきたのか
希望はいつ生まれるのか
彼をどう理解してやればいいのか
父の目を覗き込むとき

そして光が輝き始め
いにしえの子守り歌が聞こえてきた
苗木が育っていくように
おれの心も溢れていくのを感じる

いったい何と声をかけてやればよいのか
どうやって教えてやればいいのか
何かして遊べばよいのか
少しずつ分かり始めた
それが必要なときだということを
父の目が必要だということを

そして遠くの雲の間から
雷が轟き始めた
土で出来た橋のようなおれを
涙の流れが洗うように流していく

おれの魂が死んでいったように
おれは彼を失ってしまうのか
いったい何を試みればいいのか
少しずつ分かり始めた
彼はおれと共にいる
父の目を見つめているのだと


涙の河

河までは3マイル
おれをどこかへ流してくれる
汚れた通りまでは2マイル
今日おまえと会った場所だ

一人ぼっちのおれの部屋まで4マイル
ここにおれは隠れ住んでいる
街の酒場までは半マイル
世間に顔向けできないおれが逃げ込む場所

神様、いったいどれだけ逃げつづければいいのか
7時間、7日間、それとも7年間か
君が去ってからおれが知っていることはただひとつ
まるで涙の河で溺れているような気分だ

あと3日でこの街を去るつもりだ
そのままどこかへ消えてしまうのさ
たぶん1年もすればどこかへ落ち着けるだろう
誰もおれのことを知らないような場所に

この痛みから逃れるために
もう一度君をこの腕に抱きしめたい
でもそんな時間はない
もう行かなければならない
また逃げ出さなければならない

今でも物思いに沈んでしまう
またここに帰ってくるときがあるのかと
君ならおれを救ってくれる
涙の河で溺れるおれを
ああ、これはいつまで続くのか


巡礼者

いったいどこに線を引けばいいのか
真実と必要悪との間に
信頼を得るにはどうすればいいのか
再び物事がうまくいくようにするために
何といって説明すればいいのか
おれの涙を見た者たちすべてに
いったいどんな意味があったのか
これまで無駄にしてきた愛のすべてに

日の当たらない場所に立ち
自分の心を鷲掴みにしてきた
理解できない連中と
一緒にいたいとは思わない
君への愛の巡礼者だったおれ

それは悪夢に生き続けるような日々
真っ暗な穴を見つめるようだ
虚無の縁に立っているような感覚
完全に制御不可能だ
いったいここはどこなんだ
どうやってきたのかさえ分からない
真っ暗闇の中を手探りで歩いているような感覚
君への愛の巡礼者だったおれ


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