リンクフリー

世の中には奇妙な言葉がたくさんあるが、最近気になるのが「リンクフリー」というやつだ。 リンクフリーといえば、世間一般には「自由にリンク可能」という意味で使われている。 試しに Infoseek で引いてみたら 4万件近くヒットしてしまって話にならない。 要するに当たり前の用語になっているのだ。 リンクフリーとカナ書きにされるからには、link-free という英語から来たものかとも思える。 実際コンピュータ用語は英語がそのまま定着するケースが多いからだ。 だがその意味を英語として解釈すると、ちょっとおかしなことになる。

free という単語は、主に「無料」とか「自由」といった意味で使われる。 だが他にも細かな意味がたくさんある。 詳しくは辞書でも見てもらえばいいのだが、free には「〜から自由」「〜がない」という意味もあるのだ。 たとえば duty-free といえば免税すなわち「税金がかかっていない」という意味だし、fat-free ならば「脂肪分ゼロ」を意味する。 lead-free とは無鉛ガソリン、つまり「鉛が入っていない」ことを意味する。 smoke-free はタバコ吸い放題ではなく、「禁煙」という意味なのだ。

さて、以上をふまえて link-free を見てみると、これは「リンクされない」つまりリンク禁止ということになってしまう。 実際のところ、英語ではそういう意味にとられてしまうのだろうか。 第一「リンクフリー」って元は英語じゃなかったのか。 試しに英語版 Infoseek で link-free を引いてみると8万件ほどヒットするのだが、どれもこれも「リンクフリー」という意味ではヒットしてくれない。 前のセンテンスの末尾の `link' と、次のセンテンスの先頭の `free' にヒットしている場合とか、`free link' のように語順が逆というケースばかりなのだ。 中には linkfree.com というドメインが引っ掛かっているのだが、よく見ると申請は韓国からのもので、英語感覚に疑問が生じる。 要するに、日本と同じ意味では使われていないっぽげなのだ。

XXX-free という用法は他にもないわけではない。 たとえば `feel free' と言えば「どうぞご自由に」という意味で、link-free に似ていなくもない。 だが free の用法としてこのような形は `feel free' と `make free' しか辞書に載っておらず、同じような形だからといって link-free もアリだと判断することができないのである。 それよりは、やはり「リンクされない」という意味の方が自然に思えてしまうのだ。

たぶんこの「リンクフリー」というやつは、「ハンドルネーム」同様日本だけの用語としてきちんと生き残っていくことだろう。 ただ英語訳したとき、外国人が見てどう思うのかということを想像するとなんだか楽しくなってしまう。 どうせ日本語ページなんて見やしないんだから、どうでもいいっちゃーどうでもいいのだが。

Jul-21-1999


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