嘘をつく者(その4)

りえちゃんは、料理の好きな女の子です。 りえちゃんは、料理を作って友達に食べさせるのが好きです。 りえちゃんは色々な料理を作って、友達を呼んで食事会をします。 みんなはりえちゃんの料理をおいしいと言って食べます。 りえちゃんは、自分の料理が誉められることが好きです。 みんなが自分の料理を食べて、よろこんでくれるのが好きです。

ある日、なおきくんは友達に誘われて、りえちゃんの開く食事会に行きました。 りえちゃんはその日もはりきって料理を作りました。 みんなはその料理を誉め、おいしいと言って食べました。 でも、なおきくんはへんな味がするといいました。 りえちゃんは驚いて、何が変なのかと尋ねました。 なおきくんは、正直に思っていることを言いました。 なおきくんは料理のことをよくしりませんでしたから、何が変なのかを具体的に説明することはできませんでした。 まずいというわけじゃないけど、おいしいと言うことはできない。 なおきくんはそう言いました。 りえちゃんはがっかりしました。 なおきくんがどんなに説明しようとも、おいしいと言わないかぎりりえちゃんは納得しませんでした。 でも、なおきくんもりえちゃんがおいしい料理を出すまでは、おいしいとはいいませんでした。

友達はなおきくんを、なぜおいしいといってあげないのかと責めました。 なおきくんは、自分の正直な意見をいっただけだと言いました。 おいしくないものを食べて、おいしいと言うのは変だといいました。 友達は口をそろえて、こういうときにはおいしいと言うべきだといいました。 おいしいといわない事は、相手に対して失礼だからといいました。 わざわざ作ってくれた料理に対して、なんてひどいことを言ったんだといいました。

なおきくんは、それからおいしいとしか言わなくなりました。 だから、すごく無口になりました。

おわり


[back to index]