ガソリン

ガソリンを給油するスタンドを、普段どのような基準で選んでいるだろうか。 ある人はブランド、たとえばエッソでないといやだ、シェルでないといかんというかもしれない。 近所の行きつけの店しか利用しないという人もいるだろう。 学生の頃の友人に、カード払いでも現金と同じ価格で売ってくれる店を愛用していた奴もいた。 僕はといえば、特に決まった店で入れるということはなく、空になったときに通りかかった、妥当な値段を付けている店で入れている。 会員カードを持っているエッソとモービルが多いようだが、もしかしたら看板が青を基調としているのが理由かも知れない。 一方、決して入れる気にならないガソリンスタンドというのも確かにある。 価格を表示していないスタンドである。

価格を表示しないスタンドとは、いったいどんな店なのだろうか。 おそらくそこは、周囲のスタンドより値段が高いのだろう。 値段が高いと、客は敏感に反応し、よそのより安い店へ流れてしまう。 それよりは、値段を掲げないまま商売をして、間違って入ってきた客に高いガソリンを売りつけようとしているわけである。 いやそこまでひどいことを考えていると決まったわけではないが、元々表示しない主義だとか、単に出すのを忘れていただけだとしても、それはそれでおかしなことだ。

サービス業においては、価格の表示というのもまたサービスのひとつと考えることができる。 というのも価格というのは、客が商品を選ぶ際に考慮に入れるべき重要な要素のひとつだからだ。 それを尋ねられるまでもなく、分かりやすく提示するということは、ひとえに客に対するサービスである。 それができない店は、他のサービスもまずい可能性が高いわけである。 もしかしたら売り手は、買い手が価格が高すぎると考えて買ってくれないのでは、と気を回しているのかもしれない。 だが、それは単なるおせっかいである。 価格が適正か否かを判断するのは結局買い手なのだ。

まあガソリンスタンドの場合、サービスといってもガソリンさえ入れてくれれば、別に窓なんか拭いてくれなくてもいいのだが、とにかく料金を表示しないガソリンスタンドは絶対に利用したくない。 だいたい客の方だって、滅多やたらに安い店というのはなんか混ぜて薄めてるんじゃないかいと疑ったりして逆に利用しづらいものだ。 激しい価格競争で潰れる店も多いと聞くが、自由競争ってのはそういうもんであろう。

Apr-20-1998


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